起業資金調達の段階とは?

ビジネスに適した起業資金の調達先は、多くの場合、どの段階なのかによって異なります。選択肢をいきなり選ぶのではなく、まず、スタートアップ企業がたどる段階を確認してみましょう。

プレシード段階とシード段階の資金調達:最初の資金集めのための種まき

プレシード段階は、製品のアイデアを思い付いたときがその始まりです。起業しようと考えたら、まず友人、家族、その他の支援者に資金を求めたり、自らの貯蓄を切り崩して拠出したり、クレジット カードで借り入れしたりするでしょう。これがまさにプレシード段階の資金調達です。

シード段階の資金調達は通常、アーリー ステージの「正式な」スタートアップ企業の資金であり、投資家が関与することになります。事業計画の策定、調査、製品の開発/発売をするうえでの元手となります。

シリーズA、B、C:成長と拡大の促進

スタートアップ企業の成長に伴い、シリーズと呼ばれる一連の資金調達ラウンドを経ることになります。通常は、シリーズA、B、Cに分けられますが、ラウンドの数がそれよりも多くなることもあります。それぞれのラウンドがどのタイミングで起きるかは、成長速度、成長の可能性、市場規模などによって異なります。

ラウンドごとに、ベンチャー キャピタルのような貸し手から、自社株と引き換えに資金を得ます。また、長期的に利益をどう出すかの事業計画を立て、プレゼンする必要もあります。

IPO:株式公開とその後

新規株式公開(IPO)とは、未公開企業が初めて一般に株式を提供し、株式を公開することです。非常に大きなマイルストーンです。これを契機に、資本額と投資額の増額や、周囲の人の関心を集めることができるようになります。スタートアップ企業がIPOを実施した時点で、正式にはスタートアップ企業ではなくなります。

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起業資金の調達方法:調達先と調達の機会

勝算の高いアイデアが浮かんだとしても、中小企業向けの起業資金の調達先にたどり着くまでの作業が複雑になりがちです。そこで、適切なタイミングで適切な機会を活用できるように、噛み砕いてご説明します。

ブートストラップ:自己資金調達の基本

ブートストラップとは、アーリー ステージにおいて起業のための資金をどう調達するかの選択肢の1つで、通常、新規事業の投資に自己資金をつぎ込むことを指します。自身の貯蓄や、自分名義のクレジット カードを使用します。また、親しい友人や家族に資金を求めたり、初期の収益を事業に再投資することも、これに含まれます。 

クラウドファンディング:アーリー ステージにおけるコミュニティ サポート

クラウドファンディングとは、オンライン プラットフォームを使用して、大勢の人たちから寄付を募るという方法です。やることとしては、ページを作成し、ソーシャル メディアやメールで宣伝するだけです。寄付者には、製品のプレビューや第1ラウンドの製品の送付を案内することもあります。初期の起業資金を得るだけでなく、製品への関心を高めるための優れた方法です。

インキュベーターおよびアクセラレーター:成長への足がかり

多くの中小企業、中でもテクノロジー業界の中小企業は、インキュベーターやアクセラレーターの支援からスタートします。インキュベーターとアクセラレーターは、スタートアップ企業のメンターシップや、オフィス スペース、ソフトウェア、ハードウェアなどのリソース、それから人脈づくりの機会、資金を提供するグループです。通常、数万ドルから数十万ドルもの資金を提供してくれます。参加の承認を得られるスタートアップ企業にとって貴重な資金源となります。

エンジェル投資家:アーリー ステージに支えとなる翼

自身のネットワークよりも幅広く事業を展開したいのであれば、エンジェル投資家が、シード ステージとシリーズ ステージにおける大きな起業資金源となります。エンジェル投資家は、通常、株式と引き換えに数千ドルから数百万ドルの資金を提供してくれる個人です。そのため、企業向けの投資会社に相談する必要はありません。機敏に対応してくれるため、アーリー ステージで大きなメリットになるでしょう。

ベンチャー キャピタル:成長を加速

ベンチャー キャピタル(VC)は、事業規模拡大の準備が整った企業にとって重要な起業資金源です。ベンチャー キャピタルは、さまざまな認定投資家の資金をプールし、投資先を選択する企業ファンドが保有しています。これは一種の株式投資であるため、資金と引き換えに会社の株式を提供することになります。多くの場合、ベンチャー キャピタル企業が会社の支配権を持つことになる反面、数十万ドルから1千万ドルまで投資することができるため、多くのスタートアップ企業にとっては、それだけの価値がある話といえるでしょう。

政府助成金:公共部門からの支援

助成金は、起業資金を得るうえで理想的な方法です。株式を手放す必要がなく、返済が不要であり、成長のさまざまな段階にあるスタートアップ企業が利用することができます。ほとんどの助成金は、特定タイプの企業または事業主に提供されているため、どの選択肢が自分に当てはまるかを調べる必要があります。手始めに、中小企業庁(SBA)や、Grants.govのようなWebサイトの資金調達源から調べるとよいでしょう。 

融資:従来からの中小企業向け起業資金

今日の起業家は、これまで以上に多くの起業資金調達の選択肢がありますが、従来からの事業融資で提供されている、定番の資金調達を忘れてはなりません。SBA向けに、最大5万ドルの小口融資など、さまざまなプログラムが用意されています。信用の高い借り手であれば、個人的な事業融資を受けることもできます。信用がそれほど高くない場合は、柔軟な返済条件を組み、5千ドルから5万ドルの融資を小口融資で受けることをお考えください。

起業資金調達の準備:資金調達のヒントなど

起業資金調達の機会が非常に多いため、どこから手を付けてよいのか難しいかもしれません。選択肢を最大限に活用できるよう、ヒントをまとめましたのでご利用ください。

説得力のある事業計画を作成する

起業資金調達にまでこぎ着けるには、投資家に賢明な選択をしていると思わせる説得力が必要です。エンジェル投資家やベンチャー キャピタル企業向けに、自身のビジョン、製品の独自性、成長の可能性を強調した、説得力のあるプレゼン資料を作成します。銀行向けの事業計画の場合は、経営陣の資格、ビジネス モデル、財務、製造工程を説明した、より詳細な文書にします。

資金計画を詳しく知る

どの起業資金調達先が適しているかを判断する前に、自分の財政的な状況を把握する必要があります。すべての起業家は、金利、負債資本比率、キャッシュ フロー、利益率などの基本的な財務用語を理解する必要があります。確定申告、銀行取引明細書、売上予測を使用して財務状況を評価する方法を理解するようにしてください。自身の財務状況を知れば知るほど、スタートアップ起業に投資家が出資してもらうだけの説得材料が増えます。

法務的な戦略を立てる

守るべきものは財政だけではありません。スタートアップ企業の創業者は全員、知的財産(IP)の保護についても考える必要があります。まず、IP(著作権、商標、特許、企業秘密など)が何かを特定します。また、IPを保護するためのプロセスを確立します。明確なコーポレート ガバナンスの実践により、正確な記録を維持することができます。また、機密保持契約(NDA)は、従業員、請負業者、投資家とIPを共有する必要がある場合に機密性を維持するうえで役立ちます。 

人脈を最大限に活かす

スタートアップ起業にとって最高の事業資金調達の機会は、知り合いが運んできてくれます。つまり、人脈の幅が広いほど、それだけ良い機会が得られるということです。業界、ニッチ、またはターゲットの市場向けに用意された、カンファレンス、展示会、ネットワーク イベント、ミートアップに参加して、人脈を広げましょう。LinkedInなどのソーシャル メディア サイトを通じて、オンラインでコミュニティと交流しましょう。完璧な説明用の材料を必ず準備しておきます。 

無償のリソースを探す

賢明な起業家は、起業資金だけでなく、できる限り無償のもので済ませようとします。そこで、スタートアップ企業向けの無償のリソースとツールをまとめました。次の資金調達先があります。 

●    Funderaは、適切な資金の貸し手とマッチングを行い、貸付金の選択肢を比較できる、スタートアップ企業向けの無料ツールです。簡単な質問に答えるだけで比較できます。
●    Grants.govでは、キーワードとカテゴリ別に中小企業助成金を検索できます。助成金は、返済の必要がないため、優れた資金提供オプションです。
●    Wefunderは、大手の株主資本クラウドファンディング サイトです。将来の株式持分と引き換えに、資本を提供する投資家とのコネクションを得ることができます。
●    StartEngineも、大手の株主資本クラウドファンディング サイトです。承認手続きは複雑ですが、170万人の潜在的投資家がいるので、その価値はあります。
●    Fundableはクラウドファンディング サイトで、投資の見返りとして実際の商品や株式の提供などの報酬を選択できます。
●    Foundersuiteは資金調達管理プラットフォームで、投資家情報の検索、投資家への連絡、インタラクションの追跡、整理ができます。

SOLIDWORKSでも、業界をリードするCADソフトウェアを、対象となるスタートアップ企業に無償で提供しています。スタートアップ企業向けSOLIDWORKSプログラムをチェックして、詳細をご確認ください。 

起業資金調達に関するFAQ