歯科患者全員の意見が一致することが1つあるとしたら、「ドリルの治療は受けたくない」でしょう。スタートアップ企業であるConvergent Dentalが、Solea CO2デンタル レーザーの開発に参画するためにエンジニアリング コンサルタント企業のTischler Resourcesを訪ねたのも、まさにそれが理由です。Solea CO2デンタル レーザーは硬組織と軟組織の切除に使用でき、米国食品医薬品局(FDA)の承認を2年足らずで得た、同種のレーザーでは初めての機器です。
2014年に歯科器具・歯科機器・歯科用品の部門でメディカル デザイン エクセレンス アワードの金賞を獲得したSoleaデンタル レーザーは、虫歯の穴に詰め物をしたり、歯を削ってクラウンをかぶせたりという一般的な歯科的処置に大改革をもたらしています。レーザーに鎮痛効果があるため麻酔を打つ必要がなく、このレーザーを使う症例のほぼ100%が、痛みをほとんど感じないというのです。患者はこれまでドリルの音や振動、麻酔によるしびれや痛みを怖がっていましたが、Soleaを用いた歯科的処置により、今では注射針を使わず痛みのない治療を受けることができます。
Tischler ResourcesのオーナーであるNeil Tischler氏によれば、Convergent Dentalが急ピッチで進めたいと考えていたことや、開発チームが社内のエンジニアと社外のコンサルタントで構成されていたことが原因で、このプロジェクトには設計とエンジニアリングに関する課題が生じていたと言います。
「開発チームのメンバーは、会社の創設者であり、レーザーと光学の仕様を決定したNathan Monty、工業デザイナーであるHerneticsのHern Kim、Sachem ConsultingからConvergent Dentalに移り、電気システム設計を担当したBill Grovesと彼をサポートした同社のLeo Bafitos、ハンドピースと空圧回路を設計したConvergent DentalのCharles Dresser、PDM(製品データ管理)・図面作成・ECO(エンジニアリング変更指示)を担当したConvergent DentalのChris Dancewiczでした」とTischler氏は説明します。「私の役割は、カート本体の機械設計を監督しながらカートの構造を作成することであり、購入したコンポーネントやカスタム設計したコンポーネントを、チームの作業をつなぎあわせる製造モジュールに統合することでした。 効果的なコラボレーションを実現するため、堅牢な統合開発プラットフォームが必要でした」
Tischler ResourcesとConvergent Dentalのチームが選んだのは、SOLIDWORKS設計とSOLIDWORKS Enterprise PDM(EPDM)製品データ管理のソリューションでした。使いやすい操作性と強力なサーフェス設計機能だけでなく、効果的な設計ビジュアル化ツールやコミュニケーション ツールが含まれていることが決め手でした。「SOLIDWORKSソフトウェアを選んだのは、あらゆる設計環境に最もシンプルに、最もストレートに統合できるベストなソリューションだったからです」とTischler氏は言います。「サブスクリプション サービスにも価値を感じています。時間節約につながる機能を学習できますし、モデリングの問題が起きたら、充実したサポートを受けることができるからです」
驚くほどのスピードで画期的な製品を実現
Tischler ResourcesとConvergent Dentalのチームは、SOLIDWORKSを使ってSoleaデンタル レーザーを設計し、2年足らずでFDAの承認を獲得しましたが、これは新しい医療機器としては異例のスピードです。Tischler氏はSOLIDWORKSでレーザー カートの機械設計を開発し、Kim氏はSOLIDWORKSサーフェス化ツールを使って美しい外部パネルを設計しました。Dresser氏はハンドピース設計と空圧システムを統合するためにSOLIDWORKSを活用し、Groves氏はSOLIDWORKSソリューション パートナーのAltium® Designerソフトウェアを使用して電気システムを設計しました。
「このプロジェクトは、SOLIDWORKSコミュニティのパワーを示す良い見本です」とTischler氏は力説します。「私たちは、重要な開発ニーズに対応するため、スペシャリストのチームを作り、共通言語としてSOLIDWORKSを使用しました。短期間での開発というプレッシャーの下でも目標を達成できたのはSOLIDWORKSのおかげです」