Challenge
製品設計段階でプラスチック射出成形部品の金型充填を評価することで、金型関連の製造問題を排除し、レンズ性能を高め、製品の美しさを改善する。
Solution
SOLIDWORKS Plastics Professional射出成形シミュレーションおよび解析ソフトウェアを導入。
Results
- 金型製作者との繰り返し作業を最小限に抑制
- 金型関連の製造問題を排除
- 剛性と金型充填に合わせて部品を最適化
- レンズの性能と製品の美しさを改善
製品設計段階でプラスチック射出成形部品の金型充填を評価することで、金型関連の製造問題を排除し、レンズ性能を高め、製品の美しさを改善する。
SOLIDWORKS Plastics Professional射出成形シミュレーションおよび解析ソフトウェアを導入。
緊急警報製品の世界的メーカーであるECCO(Electronic Controls Company)は、高品質な射出成形プラスチック部品の開発に力を入れています。商用車向けのバックアップ アラームと警告灯や、緊急車両向けの赤色・青色警告灯は、主に屋外で稼働し、あらゆる気候にさらされます。同社はこうした環境で錆びないプラスチック部品を多用しています。ライトのレンズには、光学系のプラスチック部品が不可欠です。アイダホ州を拠点とする同社は、2001年にSOLIDWORKS ProfessionalおよびSOLIDWORKS Premium設計ソフトウェアを導入して、生産性の飛躍的な向上、設計サイクルの短縮、製品ラインナップの拡大を達成しています。2010年には、SOLIDWORKS Enterprise PDM製品データ管理システムを導入して、さらなるメリットを得ました。2012年に、プラスチック射出成形部品の製造性を最適化するソリューションをDassault Systèmes SOLIDWORKS Corporationに依頼しました。「2012年までは、治具メーカーに射出成形問題の特定と解決を依頼していました」と機械設計エンジニアのJohn Aldape氏は振り返ります。「しかし、ガラス繊維充填ナイロンのアラーム筐体でサーフェスの編み合わせ問題が発生したとき、金型充填シミュレーション技術を検討することにしました。私たちは、治具メーカーとの繰り返し検証を待たずに、金型への充填の様子とウェルド ラインの位置を社内で評価したいと考えたのです」。ECCO社は、SOLIDWORKS Plastics Professional射出成形シミュレーション ソフトウェアを導入しました。「ソフトウェアは、その有効性を確認するのに十分な性能を発揮しました」と機械設計エンジニアのNick Thompson氏は言います。「SOLIDWORKS Plasticsは使いやすく、金型へのプラスチック充填のシミュレーションを通じて、成形部品がどのように仕上がるのか示してくれます。その結果、製造性の問題を回避できることに気付きました」。「さらに、SOLIDWORKS Plasticsはレンズなどの光学部品の製造改善にも役立つと見込まれました」とAldape氏は付け加えます。「当社は、滑らかかつクリーンで構造的に安定した部品を求めており、こうした目標の達成にSOLIDWORKS Plasticsを活用できると確信しました」
ECCO社は、SOLIDWORKS Plastics金型充填シミュレーションを使用して、プラスチック射出成形部品を最適化するだけでなく、金型製作者との繰り返し作業を最小限に抑えて時間とコストの節約も達成しています。同社は、治具メーカーの専門知識も高く評価しつつ、設計段階での金型充填シミュレーションによって製造問題の発生を最小限に抑えています。「金型のインサート、サイズ、形状、プレスなどについては今でも治具メーカーが頼りですが、プラスチックが金型を流れる様子を視覚的に把握することで、最終的な部品の仕上がりをより細かくコントロールできます」とAldape氏は言います。「SOLIDWORKS Plasticsがなかったら、設計の製造性にこれほど自信を持てなかったでしょう。問題が発覚してから金型製作者と差し戻しを繰り返すということがなくなり、時間とコストを削減できました」
SOLIDWORKS Plasticsがなかったら、設計の製造性にこれほど自信を持てなかったでしょう。問題が発覚してから金型製作者と差し戻しを繰り返すということがなくなり、時間とコストを削減できました。
ECCO社は、手始めに、SOLIDWORKS Plasticsを使って約1.2mと約1.8mのバー型警告灯の新しいベース部分を開発しました。SOLIDWORKS Simulationの構造解析結果に基づきリブ、フィン、リッジを追加してベース部分の剛性を高めた後、SOLIDWORKS Plasticsを使用して金型充填をシミュレーションしました。その結果、さらなる設計変更を行い、製造性を最適化しました。「バー型警告灯のベース部分は、これまで製造してきた中で最も大きな射出成形プラスチック部品でした」とThompson氏は言います。「SOLIDWORKS Plasticsを使うことで、金型内をプラスチックがうまく流れるように設計を変更できました。射出スプルーの大型ポストと、ポストから伸びるリブを追加して、流れを良くするためのランナーとして機能させたのです。後から戻ってランナーを追加する必要があると遅延が生じますが、その必要はなく、設計段階で完了できました。金型製作者はゲートの寸法を変更するだけで済んだのです」
多くのECCO製品には、保護レンズとして機能するプラスチック射出成形光学部品が使用されています。同社の設計者は、SOLIDWORKS Plasticsを使用することで、重要な光学部分(光透過部)に金型起因のパーティング ラインやウェルド ラインが被らないように調整できます。また、ウェルド ラインを目立たない位置に配置して射出成形部品の全体的な美観を改善することもできます。「ウェルド ラインの見た目は重要です」とAldape氏は強調します。「光学部品の実用的な精密研磨部分にウェルド ラインがあると、輝きが失われます。容易に気付くほどの状態では、製品の美観が損なわれるのです。SOLIDWORKS Plasticsを使うと、フィーチャーやテクスチャのあるサーフェスによって隠れる部分にウェルド ラインを配置できるので、製品全体の美観が向上します」