Challenge

革新的な環境保全技術を開発するスタートアップの製品開発を高度化、高速化する。

Solution

SOLIDWORKSの製品開発プラットフォームを導入して、参加するスタートアップ企業が利用できるようにする。

Results

  • 環境保全技術を開発するスタートアップの開発の高度化を支援
  • 業界トップクラスの設計、シミュレーション、コミュニケーション ツールへのアクセスを提供
  • 試作品開発を迅速化
  • 革新的なクリーン テクノロジーの開発をサポート
  • 設計の視覚化およびコミュニケーションを向上

Greentown Labs, Inc.は、共同でワークスペースをシェアしていたマサチューセッツ工科大学(MIT)工学部の学生たちによるオープンな関係からスタートし、クリーン テクノロジーの開発によってエネルギーと環境の課題解決に取り組むスタートアップのための大手ビジネス インキュベーターに成長しました。Greentown Labsが前提としているのは、スタートアップがお金をかけずにテクノロジーを開発し、製品を製造できるように、仕事場や機械装置、開発ソリューションなどのリソースをシェアするだけでなく、重大なエネルギー問題に取り組む開発コミュニティに加わることです。

2011年に4つのスタートアップによって設立されて以降、Greentown Labsは、定期的なEnergyBarネットワーキング イベントや起業家のための教育イベントを開催することで、エネルギーとクリーン テクノロジーのエコシステムにおける役割を広げていきました。これまで76のスタートアップにサービスを提供し、現在、41のスタートアップが同社の敷地内でクリーン テクノロジーに取り組んでいます。その多くは、重要な課題の解決に取り組んでいる起業家が集まる活気に満ちたコミュニティに属し、各種の賞を獲得する企業を生み出しています。

Greentown Labsは、メンバーが事務コストや機械設備、イベント スペースをシェアできるようサポートしていますが、スタートアップにとって必要なことは、高度な設計、シミュレーション、ビジュアリゼーションのためのソリューションを利用して、テクノロジーの研究開発と商品開発を加速させることでした。取締役副社長のMark Vasu氏によると、Greentown Labsはコミュニティに対してアンケートを実施し、SOLIDWORKSの開発プラットフォームで標準化を行う前に、コミュニティにとって必要な設計やエンジニアリングのツールを判断しました。

「大半のメンバーにとって、SOLIDWORKSは通っていた大学で使っていた設計ソフトウェアです」とVasu氏は言います。「SOLIDWORKSの一貫性に優れた設計環境は、使いやすさだけでなく、ロイヤルティ、受容性、絶大な人気で定評があります。メンバーのソフトウェアへの期待はとても大きいのです」

SOLIDWORKSのソリューションは使いやすく、エネルギーおよびクリーン テクノロジーのコミュニティでもよく知られており、開発や試作、製造を加速させるために必要な設計とエンジニアリング用のアプリケーションが豊富に揃っているため、Greentown Labsはメンバーのスタートアップにそれらを提供することにしました。

「SOLIDWORKSは間違いなくメンバーが最も利用したかったツールです」とVasu氏。「スタートアップにとって特にメリットが大きいのは、問題解決が複雑になると、シミュレーション ソフトウェアなどのSOLIDWORKSソリューションを追加して多くの課題を乗り超えられることです。SOLIDWORKSの販売代理店であるCADD Edgeと「昼食付き」ウェビナーのトレーニング セッションをいくつか開催していますが、こちらもかなり成功を収めています。Greentown LabsのメンバーのSOLIDWORKSへの関心や信頼の高さにはとても驚かされます」

太陽光を利用して温水を生成

Greentown LabsのメンバーであるAvalanche Energy, Inc.が開発したSunTracer™は、光熱費を抑え、化石燃料と電力を利用した貯水槽を組み合わせた、特許出願中の太陽光温水システムです。設立者のAlex Pina氏は、以前はMITのリンカーン研究所のシステムおよび試作担当エンジニアでしたが、祖父母が天然ガスの料金を節約できる方法を考えていたところ、太陽追尾用のパラボラ アンテナを使って太陽エネルギーを集め、温水を生成するシステムを初めて思い付きました。

Pina氏は次のように振り返ります。「祖父母がどうしらたガス料金を節約できるかを私は考えていました。彼らのトレーラーにはソーラー パネルは設置できませんでしたが、テレビやインターネット サービスに使う小さなアンテナは取り付けられました。それに合うものが市場に出回っていなかったので、MITの卒業課題でSOLIDWORKSを使って小型のシステムをいくつか開発し、エンジニアリングとマネージメントの学位を取得しました。そのアイデアがきっかけとなり、引き続きSOLIDWORKSでモデルを作成し、いくつかの試作品を作ることにしたのです」

Pina氏は、EnergyBarイベントに参加した時にGreentown Labsのことを耳にしました。「アパートから出て、共同作業スペースを利用して開発を進め、システムを作れるなら好都合だと思いました。周りに他のクリーン テクノロジーのイノベーターがいて、最先端のハードウェアをシェアし、SOLIDWORKSの全ツールを利用できることで、開発や試作をかなりスピードアップできます」とPina氏は語っています。

Avalanche Energyは、SOLIDWORKS Premiumの設計ツールを使用してシステムを設計し、写実的なレンダリングを作成して、システムのコンセプトをパートナーや投資家、見込み客に伝えました。また、SOLIDWORKSの熱伝導、フロー、構造解析機能を使用して、SunTracerの設計を検証し、最適化しました。

2014年に2軸の太陽追尾機能などのシステムが初めて実地テストされ、2015年後半にシステム全体のテストが計画されました。SunTracerの追尾機能によりシステムの柔軟性が高まり、また軽量な設計のため、同等のシステムの半分のコストでシステムを導入できます。SunTracerは屋根の上にさまざまな方向で設置できます。アンテナは空全体で太陽を追跡するため、南向きに設置する必要はありません。既存の温水貯水槽に簡単に接続するだけでいいのです。

Pina氏は次のように力説します。「SOLIDWORKSでは設計をすばやく変更できるため、開発をかなりスピードアップできます。寸法を1つ変更すると、変更がアセンブリ全体に反映され、関連する図面がすべて更新されます。SOLIDWORKSやその柔軟性を利用できなければ、どうやってSunTracerを開発すればいいのかわからなかったでしょう」

SOLIDWORKSは間違いなくメンバーが最も利用したかったツールです。

Mark Vasu氏
Greentown Labs、取締役副社長

より小型で静音性、効率性に優れた電子部品冷却システム

Greentown Labsメンバーである熱ソリューション企業のCoolChip Technologies™は、キネティック冷却テクノロジーと呼ばれるプロセスによって、より軽量かつ小型で静音性に優れ、消費電力を抑えた画期的な汎用電子部品用冷却システムを開発しました。従来の電子部品冷却システムは、放熱板と換気扇で構成されています。CoolChipの設立者であるWilliam Sanchez氏、Steven Stoddard氏、Lino Gonzalez氏は、換気扇と放熱板を組み合わせてキネティック冷却エンジンを開発するアイデアを実現しようとしていました。2011年に同チームは、起業を支援するMIT Clean Energy Prizeを獲得しました。

CoolChipのキネティック冷却エンジンを統合した換気扇と放熱板の組み合わせは、特許取得または特許出願中のアプローチで放熱板と換気システムという既存の認識に挑戦し、新境地を切り拓くものです。CoolChipは現在、異なる市場セグメントでいくつかのOEMの試作に取り組んでおり、製品の用途は航空宇宙からコンピューター システムまでさまざまな範囲に及びます。

共同設立者のStoddard氏によると、同社がGreentown Labsのワークスペースに引っ越し、SOLIDWORKSの開発プラットフォームを利用したことで、研究開発と試作をスピードアップできました。Stoddard氏は次のように振り返っています。「私たちはMITの学生として、SOLIDWORKSを幅広く活用していました。Greentown LabsでSOLIDWORKSを利用し、設計サイクルが短くなり、より効率的にコラボレーションできました」

「たとえば、OEMの顧客向けシステムの試作では、冷却スペースに合わせてシステムをすばやく設計する必要がありますが、許容されるスペースは顧客によってまったく異なります。そこで、標準の部品ライブラリ、SOLIDWORKSのコンフィギュレーション、パラメトリックな設計ツールを利用して、さまざまなスピン形状、フィン間狭あい、フィン サイズを独自に準備しておくことで、設計サイクルとリードタイムを短縮しています。共同開発が必要な業界では、SOLIDWORKSによる設計の柔軟性は明らかに有利です」

また、CoolChipはSOLIDWORKSのシミュレーション ツールを使用して、荷重や応力が限界を超えていないかを確認し、SOLIDWORKS PhotoView 360の写実的なレンダリング ツールによって、キネティック冷却テクノロジーのコンセプトをパートナーや見込み客に伝えています。「SOLIDWORKSで作成したレンダリングを利用して、放熱板の羽根車の動作を伝えるだけでなく、多くのマーケティング資料にも対応しています」とStoddard氏は述べています。「SOLIDWORKSのツールは、初期設計から検証、伝達、製造まで、キネティック冷却エンジンをコンセプトから大量生産にこぎつける私たちの努力を支えてくれます」

ソーラー式電子機器充電ステーション

WrightGridは、Greentown Labsのメンバーとなることで、SOLIDWORKSの設計ツールを利用して、エンド ユーザーが無料で使用でき、屋外広告としても機能する、独自の屋外用ソーラー式携帯電話充電ステーションを開発しました。各ステーションでは、公園、大学のキャンパス、音楽祭、ショッピング センターなどの屋外スペースに訪れる人々に便利な充電サービスを提供すると同時に、ステーションの所有者がターゲット市場に参入するための宣伝やブランディングの拡大を支援します。

設立者のRyan Wright氏は、バブソン大学の夜間MBAプログラムに参加して、スタートアップの世界にすっかり魅了されたと語っています。Wright氏は、ビジネス計画を作成し、小売店で部品を購入して最初の試作品を作った後、Greentown Labsに参加。機械工学主任のSam Feller氏を仲間に迎えて、コンセプトやステーションの全体的な外観を見直しました。

Wright氏は語ります。「屋外の悪天候に強い堅牢なシステムであるだけでなく、屋外スペースで目立つ魅力的なステーションにしたかったのです。ステーションの外観を良くして、耐久性を高めると同時に、多くの場合に設置は一時的で、特定のイベントに関連するものなので、輸送、設置、解体が簡単なものにしたいと思いました」

Feller氏は、SOLIDWORKSソフトウェアを使用して、見た目の美しいデザインを作成し、初期の試作品で見つかった機能上の問題を解決しました。「スタートアップは最小限製品化可能なものを作ることで頭がいっぱいになっています」とFeller氏は指摘します。「私がここにやって来たのは、何でも屋の集まりから、売れる製品を開発する企業に生まれ変わるのを促進するためです。SOLIDWORKSのような生産品質の高い開発用ソフトウェアを使用しなければ、それは不可能でしょう」

Feller氏はSOLIDWORKSの板金設計および製作用ツールを利用して、WrightGridの第4世代充電ステーションの設計を行いました。「オフセット ジョグを使ったり、内側と外側のサーフェスを異なる方向に伸ばしたりすることで、板金で物理的に実行可能な範囲の限界を広げていきました」とFeller氏は強調します。「SOLIDWORKSのフラットパターン機能は、ロール成形、スイープ、オフセット ジョグをまとめて平らな板金で実行するのに絶対に欠かせないものでした。次に、製造エンジニアリングをサポートするために、SOLIDWORKSで製造図面と部品表を作成しました」

「当社の製造パートナーもSOLIDWORKSデータの活用を気に入っています。つまり、SOLIDWORKSを利用できることで、充電ステーションの再設計が容易になり、あらゆる面で効率が向上したということです」