Challenge
世界最大の特注溶接ガンを軽量化し、パフォーマンスを最適化することで、競争上の優位性を獲得
Solution
SOLIDWORKS 3次元機械設計ソフトウェアを導入
Results
- 開発/納入期間を1/10にカット
- 最大級の溶接ガンの重量を60%低減
- 繰り返しの多い試作品製作のコストを削減
- 製品のパフォーマンスと利益幅を向上
世界最大の特注溶接ガンを軽量化し、パフォーマンスを最適化することで、競争上の優位性を獲得
SOLIDWORKS 3次元機械設計ソフトウェアを導入
KOČEVAR d.o.o. は、世界最大級の特注溶接ガンを開発、製造しています。同社は、1969年にスロベニアで創設され、工業用のスポット溶接機、プロジェクション溶接機、シーム溶接機を製造しています。事業内容を拡大して、単相交流式、三相直流式、MFDC中波直流式の各溶接機や、ロボット式のスポット/シーム溶接機、ロッカーアーム/ペダル式スポット溶接機、マルチスポット プロジェクション溶接機、抵抗溶接自動システム、抵抗溶接消費財(電極キャップ、シャンク、積層シャント)、測定機器も手がけています。
この溶接システム メーカーは、客車車両の大型構成部品の連結用に設計された、世界最大のカスタムメイドの溶接ガンを製造していることでも有名です。管理ディレクターであるJožef Kočevar Jr.氏は、イノベーションを重視し、抵抗溶接テクノロジーの向上に専念し、さらに3次元設計とエンジニアリング テクノロジーに注力したことが同社を成功に導いたと考えています。
カスタムメイドの溶接機器の開発と製造に伴う課題を解決するためには、KOČEVARは競争上の優位性を維持していかなくてはなりません。このような理由から、早いうちに3次元CADテクノロジーに適合するために、1998年にCaddie® からSOLIDWORKS® に乗り換えました。同社は、SOLIDWORKSが使いやすく、シミュレーション ツールへのアクセスを提供し、納入期間を短縮させるというKOČEVARの取り組みをサポートできるという理由から、SOLIDWORKSを標準にするようにしました。
「当社がSOLIDWORKSを使う理由は、競争上の優位性を常に維持しようとしているからです」とKočevar氏は説明します。「SOLIDWORKSが大型溶接ガンのカスタム開発にどのような影響を与えるのか、ソフトウェアが提供する時間短縮の効率性がどの程度かを検討したところ、SOLIDWORKSを導入すれば競争上の優位性を得られることは明白なことでした。SOLIDWORKSの機能のすべてがないとしたら、今では当たり前のように完了させているタイプのプロジェクトをやり遂げることは無理だったでしょう」
SOLIDWORKSの導入以降、KOČEVARは継続的に開発サイクルを削減し、納入期間を短縮しているため、2次元設計ツールを使っていたときと比べて開発/納入期間が1/10になりました。「現在、当社が製造している溶接ガンを2次元環境で開発したとしたら、数年かかるでしょう」とKočevar氏は強調します。
「SOLIDWORKSを使うことで、年単位だった作業期間を月単位にまで減らすことができました」とKočevar氏は続けます。このように生産性を上げることができた主な要因は、SOLIDWORKS環境では設計の視覚化と設計の変更が非常に簡単であったことです。SOLIDWORKS環境では、設計を変更する必要があっても、変更内容は関連の図面と技術ドキュメントに自動的に反映されます。2次元環境で同じような変更を加えたとしたら、変更内容の反映に1か月以上かかります。カスタム設計の機械は、当社の基幹事業であり、それは全プロジェクトでSOLIDWORKSを使う理由でもあります。SOLIDWORKSを使うと、変更が迅速かつ容易になります」
SOLIDWORKSを使うことで、年単位だった作業期間を月単位にまで減らすことができました。このように生産性を上げることができた主な要因は、SOLIDWORKS環境では設計の視覚化と設計変更が非常に簡単であったことです。カスタム設計の機械は当社の基幹事業であり、それは全プロジェクトでSOLIDWORKSを使う理由でもあります。SOLIDWORKSを使うと、変更が迅速かつ容易になります。
世界最大級の溶接ガンを設計、製造するうえで最大の課題は、ガンの重量を軽くし、負荷容量を最適化することです。この課題を克服するために、KOČEVARはSOLIDWORKS SimulationXpress™有限要素解析(FEA)ツールを使って、構成部品ごとの重量の計算とパフォーマンスのシミュレーションを行った結果、重量を60%減らし、耐久性とパフォーマンスを改善することができました。
「重量は大型溶接ガンを開発するうえで重要な問題です。標準規格のロボット システムと構成部品で制御できるようにするためです」とKočevar氏は説明します。「この業界で最軽量の大型溶接ガンを開発するために、当社はSOLIDWORKS SimulationXpressで100回を超えるシミュレーションを実行し、その結果に従って、構成部品を再設計し、重量を軽くしました。次に、設計が最適化される点に到達するまで、シミュレーションを繰り返し実行し、再設計しました。こうして60%以上、重量を軽くしました」
SOLIDWORKSとSOLIDWORKS SimulationXpress解析ツールを使用することにより、大型溶接ガンの重量が軽くなり、Kočevarは顧客のコスト節約を手助けする一方で、各プロジェクトの利益幅を広げています。「大型溶接ガンはロボット制御の適用分野であるため、できるだけ重量を軽くすることが非常に重要です」とKočevar氏は述べます。
「実際のところ、競合他社の大型溶接ガンは、顧客に多大なコストの支出を強いています。これは、重過ぎて標準規格のロボットでは制御できないため、カスタムのロボット開発および操作が必要になるからです」とKočevar氏は補足します。「当社の軽量大型溶接ガンを使った場合は、標準のロボット コントローラを使えるため、顧客のコストが節約されます。当社は、機械を最適化するために手で計算したり、物理的試作品の製作を試行錯誤したりするのではなく、SOLIDWORKSシミュレーション ツールを使っているため、機械1台当たりの純益が伸びており、製造する機械ごとに、溶接ピース用のジグレス アセンブリのような先進的な技術を加えることができます」