Challenge

高性能自動車の設計と製造しながら、新しい自動車の概念とアプローチを開発、テスト、検証する作業をすべて、小規模なチームで限られた予算で行います。

Solution

SOLIDWORKSおよびSOLIDWORKS Flow Simulation数値流体力学(CFD)解析ソフトウェアを導入します。

Results

  • 流体シミュレーションとテスト結果の98%の相関性を実現
  • 車両の空気力学と性能を改善
  • 革新的な特許申請中のサスペンション設計を導入
  • 24台以上の高性能自動車を4人のチームで設計および製造

Palatov Motorsportは、高性能自動車、部品、アクセサリーの設計と製造を行っています。同社の顧客は、Palatovの車両を主にレクリエーション トラックデイ(アマチュアの愛好家がレーストラックを利用できるイベント)に使用します。しかし、Palatov Motorsportは一般道路での走行用に登録可能な車両モデルも生産しています。この特殊自動車メーカーは、比類のない価値を提供する卓越した性能を持つ設計を作成および製作することに努めています。また、Palatov Motorsportは、個別に製作された車両から少量および中量生産の特殊車両まで、カスタム自動車用のサスペンション 部品などの構成部品の設計と供給においても成功を収めています。

2008年にPalatov Motorsportを設立する前は、共同経営者のDennis Palatov氏はコンピュータの筐体を設計する機械エンジニアとして勤務していました。その職務では、3次元設計プラットフォームが必要でした。そのため、Palatov氏は1995年に市場で入手可能な設計ソリューションを評価した後に、SOLIDWORKS®の3次元設計ソフトウェアを選択してから、お気に入りの設計ツールとしてずっと使用してきました。「Pro/ENGINEER®も評価しましたが、高価なワークステーションが必要で使いにくかったのです」とPalatov氏は思い起こします。

「私はPCベースのソリューションを求めており、SOLIDWORKSの評価をすることを決めました。ユーザー マニュアルを開かずに席に着いて、SOLIDWORKSをすぐに使い始めることができることがわかりました。このソフトウェアは非常に直感的で、自分の脳が働くように動作します。自分の頭の中にあるアイデアを生産的に現実化できるのです」

彼の経験から、Palatov MotorsportでSOLIDWORKSを選択するのは簡単な決断でした。「厳密な公差のある自動車全体をゼロから自分自身で設計し、4人のチームでその自動車を組み立てます」とPalatov氏は言います。「大抵の特殊自動車は、20人~30人以上のチームで開発されます。Palatov Motorsportでそれを行うには、SOLIDWORKSが不可欠です。このソフトウェアは継続的に進化、改善されており、素晴らしいツールであることが実証されています。」

この特殊自動車メーカーは、空気力学的性能を最適化するために、統合されたSOLIDWORKS Flow Simulationを2012年に追加導入しました。SOLIDWORKSに一本化した決断と同様に、Palatov Motorsportが SOLIDWORKS Flow Simulationを選択した理由は、同ソフトウェアが直感的で、SOLIDWORKS設計環境内で機能し、正確な結果を出すためです。

 

流体シミュレーションで空気力学的特性を改善

Palatov Motorsportは、SOLIDWORKS Flow Simulationを使用して、空気の流れ、抗力、ダウンフォースが自動車の性能にどのように影響するかについて重要なインサイトを得ることができました。これにより、同社は自動車の空気力学的特性を改善しただけではなく、運転者の好みに合わせて空気力学的要素を柔軟に調整できました。たとえば、同社はSOLIDWORKS Flow Simulationを使用して、コロラド州の標高4,301mのパイクス ピークで開催される、距離19.99km、コーナー数が156あるパイクス ピーク インターナショナル ヒル クライム(IHC)でのレース用に特別に設計されたD1PPS(パイクス ピーク スペシャル)を開発しました。

「SOLIDWORKS Flow Simulationを使用してD1PPSの流体解析を実行し、その結果を物理テストで得た実際のデータと比較しました」とPalatov氏は説明します。「SOLIDWORKS Flow Simulationの結果と実際のデータの間に98%の相関性があることが実証されました。これにより、空気力学的特性を改善するために、このソフトウェアを信頼できることが分かりました。時速161kmで車両に181kgのダウンフォースがまだかかりますが、解析結果を使用して、フロント/リア部でのこの力の分布を最適化して空気力学的特性を調整できました。」

SOLIDWORKSを使用して、当社の少人数のチームは新しい概念をすばやく考案して、パイクス ピークの急で曲がりくねった坂でその性能を実証できるので、高性能な自動車がどのようなものであるかを再定義できました。

Dennis Palatov氏
創業者兼共同経営者

さらに、PalatovはSOLIDWORKSを使用して、同社の革新的な特許申請中のサスペンション設計の性能を最適化しました。このサスペンションではハンドル操作が改善されるほか、アンチロール バーとエアロアシスト第3ばねが不要になります。「ジオメトリを活用してホイールレートの進行比を5:1にするクリーンでシンプルなソリューションを思い付きました」とPalatov氏は述べます。

「私は関係と式をスケッチで定義し、解析ツールとしてSOLIDWORKSの3次元スケッチとSOLIDWORKSのパラメトリック機能を組み合わせて使用しました」と同氏は続けます。「一連の漸進的な反復で主要な寸法を変更することで、希望する性能を実現するために設計を迅速に最適化できました」

 

パイクス ピーク インターナショナル ヒル クライムでの勝利

2012年以来、Palatov Motorsportは同社の自動車を紹介するためにパイクス ピークIHCに参加してきました。このイベントでは優れた自動車の馬力、ハンドル操作、性能が求められます。Palatov Motorsportは、2012年アンリミテッド クラス(技術的規則の制約は安全点検で合格することのみ)のレースで優勝し、2015年オープン クラス(ストックカー/ストリートカー車体の自動車用)のレースで優勝を収めました。

「パイクス ピーク インターナショナル ヒル クライムは私が常々やりたいと思っていたことです」とPalatov氏は強調します。「このレースは、当社の斬新なアイデアがトップレベルの国際競技でどれだけ通用するかを示し、その性能を検証できる唯一の場所です。SOLIDWORKSを使用して、当社の少人数のチームは新しい概念をすばやく考案して、パイクス ピークの急で曲がりくねった坂でその性能を実証できるので、高性能な自動車がどのようなものであるかを再定義できました」