Challenge

大学の設計プロジェクトで作った先進的な搾り出し式果実飲料ボトルの設計を出発点として、採算が取れるメーカーを立ち上げる。

Solution

起業家向けSOLIDWORKS製品開発ソフトウェアを導入。

Results

  • 2019年の予想売上として20万本を達成
  • 初期の製品設計を3つの製品に応用
  • 設計と3Dプリント素材を活用してキックスターター キャンペーンを始動
  • 搾り出し式果実飲料ボトルの特許を取得

Hambly家のJesse、Luke、Masonの3兄弟は大学生だった頃に、水の中に直接、果汁ジュースを搾り出すというやり方で、のどの渇きをいやす健康飲料を作るというアイデアを持っていました。プロのスノーボードのサーキットに出場しようとして大学の在学期間を数年ほど延長していた3兄弟は、クラスメートが効率の悪い同じやり方でインフューザー ボトルに水を注ぎ込み、そのボトルの中で果実を水に漬けているのを見ました。インフューザー ボトルでテストしてみたところ、果実を浸した水は飲みやすいけれども風味がないことが分かりました。実際のところ、水の中に果汁ジュースが溶け出すどころか、インフューザー ボトルの中では正反対のことが起きていました。果実は水を吸って膨らみ、後できれいに洗わなければならないほど散らかってしまいました。中で美味しいジュースができ上がることはありませんでした。

この経験が、中で搾り出せるように、ボトルの上部にねじって回転させる部分を取り付けるアイデアのもとになっています。上部の回転部分を回すと、果実からジュースが搾り取れ、水の中に直接、味が溶け出します。当時、Luke氏は、コネストーガ カレッジで設計エンジニアリングを学んでおり、最終学年の設計プロジェクトとして、搾り出し式飲料のコンセプト作りに本格的に乗り出し、ついにPressa Bottleが誕生したのでした。

「コネストーガ カレッジでエンジニアリングを学ぶ一方で、SOLIDWORKS®の使い方も勉強していました」とLuke氏は振り返ります。「SOLIDWORKSは、非常にユーザー フレンドリーに作られていて、しかもYouTubeにオンラインで見られる学習用の動画やチュートリアルがたくさんあったので、夢中になって使い方を学びました。それと同時期に、兄弟と一緒に搾り出し式飲料のアイデアを練っていましたが、その甲斐あって、最終学年の設計プロジェクトとして、Pressa Bottleの最初のコンセプトができ上がりました。設計が完了すると、実際に作ってみる必要があったため、3Dプリンタを購入しました」

Luke Hambly氏の初期のPressa Bottle設計は、SOLIDWORKS Education Editionで作成されましたが、先進性に富み、商品価値が見込めたため、卒業と同時に兄弟に支援を要請しました。Jesse氏はマーケティングと電子商取引を担当し、Mason氏は映像制作者として企業のビデオ コンテンツの作成を担当しました。次に、大学の設計プロジェクトから脱して、製造ビジネスに耐えられるだけの革新的な製品に生まれ変わらせようとしました。このとき製品開発ソリューションとして使ったのが、起業家向けSOLIDWORKSです。

大学の設計プロジェクトから特許製品へ

製品のアイデアは実用的であったため、他の企業が搾り出し式ボトルのアイデアを盗もうとしたり、模倣しようとしたりしているのをHambly兄弟は察知しました。そこで、ビジネス上の最優先事項として、Pressa Bottleの特許を取って、自分たちの知的財産(IP)を守るようにしました。

「大学の履修過程でPressa Bottleを設計してはいますが、IPの所有権は自分たちにあったため、すぐに特許の申請を行い、特許を取得しました」とLuke氏は振り返ります。「製品の設計は実用性があり、SOLIDWORKSを使って、生産に回す前に設計を磨き上げることができたため、そろそろ事業化のリスクを背負う時期になったと兄弟で考え始めました。次のステップは、ビジネスの世界に入るための道を探すということです」

キックスターターから「DRAGON’S DEN」へ

3兄弟は、資金を得るために、映像制作担当のMason氏の主導のもと、3Dプリントで出力した試作品を使用してキックスターター用のビデオを作りました。「製品のアイデアの収益性が高いと考えているのが友達や家族だけではないことを確かめる必要があったのです」とLuke氏は説明します。キックスターター キャンペーンの結果、2015年に先行予約で4万ドルの資金を調達できたため、金型メーターと共同で試作品の金型の作成に着手し、SOLIDWORKSを使って設計を生産向けに最適化し始めました。

キックスターターの先行予約分を出荷した後、3兄弟は『Dragon’s Den』に出場しました。これは、米国のテレビ番組の「Shark Tank」のカナダ版で、6人の事業投資家の前でプレゼンし、資金を上乗せしてもらえるかどうかを試す番組です。4人の「ドラゴン」が投資の申し出をしましたが、3兄弟はJim Treliving氏の提示した15万ドルを受け取ることにしました。この額は会社の資金の25%に当たる金額で、残りの75%は兄弟で3等分することにしました。

SOLIDWORKSを使うことで、金型メーカーとのコミュニケーションが効果的になりました。お互いにコミュニケーションを取りながら、パーティング ラインを見えないようにする作業をもっと工夫するなど、設計の微調整とリアルタイムの調整を行いました。

Luke Hambly氏
共同設立者

生産と販売に手を広げる

Hambly兄弟は、「Dragon’s Den」で資金を調達できたため、製品のタイプをPressa Bottleモデルを1つ(プラスチック)から、3つ(ガラス、金属、プラスチック)に広げ始めました。金型メーカーと共同で、Pressa Bottleの設計を改良し、生産と販売の取り組みを強化しました。「SOLIDWORKSを使って、金型メーカーと効果的にコミュニケーションが取れるようになりました。金型メーターとの間で、パーティング ラインを見えないようにする作業をもっと工夫するなど、設計の微調整とリアルタイムの調整を行いました」とLuke氏は説明します。

「Dragon’s Den」で資金を得て以来、会社は成長し続けており、売上も堅調に伸びています。「月ごとに売上は増えており、2019年には20万本以上のボトルを売り上げると予想しています」とLuke氏は言います。「Pressa Bottleと起業家向けSOLIDWORKS製品開発ツールで成功を収めることができたため、この先の新製品の開発にいそしんでいるところです」