Challenge

  • サーバー上に保存された図面データが管理されず、 最新図面の所在が不明確だった。
  • デザインレビューを確実に行い、製品の仕様と 形状について営業・設計・製造で意思統一したい。
  • 設計データを製造部と共有し、治具や作業手順書 の作成に活用したい。

Solution

  • 3DEXPERIENCE SOLIDWORKSのPDM機能を使っ て図面管理を行った。
  • デザインレビュー機能を使い、図面ではなく、3Dで レビューできるようにした。

Results

  • 図面データと部品の関連が明確になり、データ流用 が容易になった。
  • 製品の形状や構成を3Dで見ることができるため、 図面を読めないメンバーからも意見が出るように なり、設計の後戻りがなくなった。
  • 設計ミスが減少し、スピードが向上した。

Waquaが創業した2012年時点でのゴールは小型の海水淡 水化装置を開発することであったが、開発した製品は海水だ けでなく、川の水や汚れた水を真水にすることができるため、 大規模インフラに頼らずに水を供給できるマイクロインフラを 構築することが可能となった。これにより、大手が進出できない ニッチ市場の開拓を目指している。

創業当初は、パイプなどの部品を加工して組み立てるという、 いわば手作りに近いスタイルであり、CADを使って設計すると いう考えには至っていなかった。当初の顧客は漁船がメイン であり、それぞれの船に合わせて製品をフルカスタマイズし て作るというやり方で事足りていたが、漁業から建設業へ市場 が広がると事情が変わってくる。建設業界で売るためには同じ 規格の製品を大量に作る必要が生じるため、手作りではなく、 きちんと設計して製造するという量産メーカーのスタイルに 転換する必要が生じた。そのためのツールとして選ばれたのが 3DEXPERIENCE SOLIDWORKSである。

3DEXPERIENCE SOLIDWORKSを導入する経緯について永山氏 は以下のように語っている。 「私がWaquaに入社した時点では2D CADが使われていました が、さまざまな問題がありました。例えば、たくさんある図面フ ァイルのどれが最新なのかわからない、図面をどう管理する かが不明確といったことです。SOLIDWORKSを導入すれば、 割と簡単にそのあたりの問題が解決できて、設計ミスを減らし、 スピードを上げられると思い、上司にSOLIDWORKSの導入を 提案しました。すぐに承認してもらったので、導入を始め、今で は3Dで設計し、PDM機能を使って図面を管理できるようになり ました」

 

デザインレビューにより設計スピードをアップ

「PDM機能だけでなく、デザインレビューも非常に大事です。 図面だけを見るのではなく、3Dでアッセンブリした状態を見な がら議論できるので、意見が出やすくなり、参加者の理解度が 高まって、試作開始前に営業・設計・製造の意思統一ができる ようになりました。この結果、設計が進んだ段階での作り直しが 大幅に減りました。

SOLIDWORKSを導入したのは、弊社にとって機能とコストのバ ランスが良いと感じたからです。複数名で設計・検証するとき も同じデータを見ながら議論できますし、設計データを製造部 と共有して、治具や作業手順書を作るときにも活用する予定で す。また、営業がお客様に製品を見せようとしたときに、まだ製 造されていないものでも3Dで見せることができるので商談が 進みやすいというメリットもあります。

2D CADを使っていた頃に比べると、設計のスピードは数倍ぐ らい速くなっているのではないかと思います。例えば、取扱説明 書に入れるイラストや作業手順書を作る作業ではさまざまな 視点から見た絵を描く必要があります。これを2D CADでやると 大変に時間がかかりますが、SOLIDWORKSを導入して大幅に 効率化できました。デザインレビューで社内の意思統一がで き、試作を始めた後の作り直しもなくなりましたので、体感とし てはかなり速くなったと感じています。 社内の導入にあたっては、基本的な使い方を私が教えた後に 各人がYouTubeにある動画を教材として操作を覚えていきました」

製造部にも3DEXPERIENCE SOLIDWORKSを使うメリットがある と藤本氏は語る。
「ここ数年デザインレビューをしっかりとやるようになり、実際 の形状を見ながら議論できるのは製造部にとっても大きなメ リットがあります。組み立ての際に工具が入らないとか、裏側は どうなっているとか、デザインレビュー時にさまざまな視点で 見られますので、後になって「やっぱり変えてください」とお願い することは無くなりました。 今後は、製造部の業務を効率化すると同時に開発部のサポー トも行いたいと思っています。小さい会社では一人一人がいろ いろな業務をこなさなければいけないので、3DEXPERIENCE SOLIDWORKSを活用したいと考えています」

「3DEXPERIENCE SOLIDWORKSは3D CADの機能もしっかりしていますが、デザインレビューや図面管理もできるので、複数のエンジニアが協力して設計・製造するツールとしてとても便利に使えます。
ハイエンド3D CADに比べるとコストパフォーマンスがよく、シェアが高いので協力メーカーとのデータ交換も容易です」

永山 宗俊 氏
株式会社Waqua 開発部 シニアマネージャー

さらなる向上を目指す

3DEXPERIENCE SOLIDWORKSを使ったワークフローは実現で きたので、今後は以下の3点に注力する。

  1. 現在は部品をアッセンブリした静的な状態を見ているが、 今後はFlow Simulationを導入して、水の流れのシミュレー ションを行い、配管系などのトラブルを未然に防止したい。
  2. 今は関係者が一堂に集まってデザインレビューを行って いるが、今後は集まらずにデザインレビューを行いたい。 3DEXPERIENCEプラットフォームにあるコミュニケーション アプリの機能を使い、レビュー期間中に質問やコメントを 書き込み、全員が集まったときと同じデザインレビューの 効果を目指したい。
  3. 全体としては3DEXPERIENCE SOLIDWORKSには満足して いるが、動作速度が向上し、1アカウントあたりでアップロ ードできるデータ容量の初期値が増えると、さらに良い。

 

Waquaの技術で水道インフラの危機を乗り越える

日本の水道インフラには老朽化の危機が迫っていると柳瀬 社長は語る。
「今後、日本の高齢化が進むと、水道管の改修がむずかしく なります。水道管の寿命は約40年と言われていますが、日本 全国の約18%の自治体が寿命を超えた水道管を使っています。 大阪では約33%、神奈川では約29%の水道管が寿命を超えて います。すぐにでも改修する必要がありますが、なかなか進み ません。そこで我々の出番です。小型の機器で分散型のマイク ロインフラを作り、老朽化した水道インフラを置き換えて、危機 を乗り越えられると考えています」

水のマイクロインフラを活用したスマートウォーターグリ ッド社会を実現するために、Waquaの挑戦は続いていく。 3DEXPERIENCE SOLIDWORKSは、製品力を高め、より効率的な スマートウォーターグリッドを実現するためのツールとして 今後も重要性を増していくだろう。