PSYONIC社:義肢設計を21世紀型へと革新

ロボティクス エンジニアリング企業のPSYONIC社では、SOLIDWORKS for Startupsプログラムを活用し、耐久性と耐衝撃性に優れた日常使用向けのバイオニック ハンドを製作しています。

課題

バイオニック ハンドの試作品を、実際の生活で繰り返し発生する機械的負荷に耐え、人間のような動きを実現し、利用者が簡単に修理や修繕を受けられるモジュラー アーキテクチャを採用した、商業的に成立する製品に変換すること。

解決策

SOLIDWORKS for Startupsプログラムを通じ、チームはSOLIDWORKSおよびSOLIDWORKS Simulationを活用して反復的な3Dモデリング、関節動作シミュレーション、レンダリング、デジタル プロトタイプ作成を行い、耐久性の改善、動作の検証、物理的な製造前の製造可能性の評価を進めました。

結果

  • 指の部分の構造は約35万回の屈曲動作の繰り返しに耐えられる設計に
  • 指の部分はモジュラー式設計のため、クリニック内で約10分での交換が可能
  • 適切な動作と最大限の可動域の実現のために最適化されたメカニカル関節
  • 数千回もの設計イテレーションの実行により耐久性と性能を改善

PSYONIC社の創業者兼CEOのAadeel Akhtar博士が生まれて初めて四肢を欠損した人と会ったのは7歳の時で、両親と一緒にパキスタンを訪れていた際のことでした。その女の子は博士と同い年でしたが、博士が受けたような医療を受けられる環境にありませんでした。

「手足の障害を持つ人に会ったのは、その時が初めてでした。その子は私と同い年で、生活は貧しく、右足を欠損しており、折れた木の枝を松葉杖代わりにしていました」その体験はAkhtar博士の心に残り続け、医療分野へと進むきっかけ、そしてやがては2015年にカリフォルニア州サンディエゴでPSYONIC社を設立するきっかけとなりました。同社のミッションは、誰もが手頃な価格で利用できる、高度なバイオニクス技術の開発を支援することです。

PSYONIC社

義肢は何千年前から存在しています。現在使用されている義肢の中には、南北戦争の時代に設計されたものもあります。義肢の設計における主要課題の1つが、機能性、耐久性、入手性のバランスをとることです。研究用の試作品が希望に満ちた可能性を示すとしても、それを信頼性の高い製造可能な製品へと転換することはまるで別の問題です。研究主導のイノベーションを中心に据える義肢メーカーのPSYONIC社は、まさにその転換に直面しました。

PSYONIC社のフラッグシップ製品であるAbility Handは、ラボでのコンセプトを超えた先へと前進しなくてはなりませんでした。正確な動きと合理的なメンテナンスのしやすさはそのままに、衝撃、反復動作、日常生活での予測不能性に対応する必要があったのです。

PSYONIC社の義手の初期の試作品

耐久性と動きを追求したエンジニアリング

PSYONIC社の義手の初期の試作品は、機能はしていたものの、生産可能な段階とは程遠いものでした。「想像してみてください。当時のAbility Handの試作品はなんと、通常の人間の手の3倍もの大きさだったのです」とAkhta博士。博士はさらに、初期の試作品は配線が四方八方に伸びてごちゃごちゃしていて管理が困難だったこと、さらにブレッドボード(再利用可能な、はんだ付けなしの試作プラットフォーム)、外部電源、そして最終的には壁のコンセントに接続されていたことを説明してくれました。

Ability Handの試作品

そのような初期の仕組みから商用製品へと移行するには、機械面の規律ある改良が必要でした。チームは、反復使用に対する構造的な耐久性を確保しなくてはなりませんでした。「指の骨部分が、35万回の曲げ伸ばしに耐えられることを確認する必要がありました」とAkhtar博士は話します。 

関連リソース

現在では、義手用に設計するあらゆる部品、そしてすべての周辺部品について、必要な作業はSOLIDWORKSで完結しています。何千回ものイテレーションを実施済みです。

Aadeel Akhtar博士

CEO

Ability Hand

耐衝撃性も同様に重要でした。Akhtar博士は次のように説明します。「指の部分はしなやかなので、Ability Handを叩きつけたとしても、その衝撃に耐えられます。自宅の屋根から30フィート下の地面に落下させたり、上から踏みつけたり、洗濯乾燥機に10分間入れたりしましたが、それでも無事でした」

エンジニアリング面の要件は明確でした。すなわち、Ability Handは、反復的な内部応力と予測不能な外からの力の両方に耐えることが必須でした。

PSYONIC社はAbility Handのあらゆる部品を設計

あらゆる部品をSOLIDWORKSで設計

こうした制約を満たすため、PSYONIC社はAbility Handのあらゆる部品と周辺部品をSOLIDWORKS®で設計しました。Akhtar博士は次のように話します。「現在では、義手用に設計するあらゆる部品、そしてすべての周辺部品について、必要な作業はSOLIDWORKSで完結しています。何千回ものイテレーションを実施済みです」イテレーションにはおびただしい数の機械概念のテストが含まれており、チームは何百もの概念設計を生み出したうえで多数の3Dプリント試作品を作成しましたが、その多くは初期テストに合格しませんでした。

機械的動作の評価は、SOLIDWORKS Simulationツールで実施しました。Akhta博士は次のように述べています。「当社では、メカニカル関節のシミュレーションを多数行っています。動作が適切であること、可動域が最大化されていることを確認し、利用者に機能を最大限活用してもらえるようにしたいと考えています」

プロ仕様の設計ツールへの早期アクセスが、PSYONIC社の立ち上げにおいて重要な役割を果たしました。Akhta博士は、SOLIDWORKS for Startupプログラムが、ブートストラップ型スタートアップ企業としての立ち上げを可能にするうえで非常に重要であったと話します。

PSYONIC社の整備しやすい製品

試作品から整備しやすい製品へ

エンジニアリング面での耐久性は、商用化の一要素にすぎません。クリニックでの修理のしやすさも同様に重要です。PSYONIC社でクリエイティブ マーケティング マネージャーを務めるDale Demasi氏は、「(Ability Handの)指の部分に不具合が発生した場合、3本のネジを外すだけで、交換は10分で完了します」と述べています。

Ability Handが採用するモジュラー式設計のアプローチは、ダウンタイムを短縮し、製品全体の交換を必要としないメンテナンスの簡素化を実現します。Demasi氏はさらに、実用面のメリットについても説明します。「義手の修理に何週間も何か月も待つ必要はありません。クリニックでの待ち時間の間に、修理は完了します」 

実生活で利用されるAdam Robot
実生活で利用されるAdam Robot

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