完璧なエッジを支える技術:Sparx Hockey社

ホッケー用具メーカーであるSparx Hockey社は、SOLIDWORKS DesignとSOLIDWORKS Simulationを活用し、従来の研磨プロセスを革新しています。 

課題

時代遅れで扱いにくい製品が主流の市場に革新をもたらし、スケート ブレードの研磨を容易にする革新的な製品の開発。

解決策

設計、製造、購買、ドキュメント作成の各プロセスを合理化して統合し、機械開発を加速するために、SOLIDWORKS Extended Portfolioを導入。これにより、製品ラインナップの拡大とスループットの向上を実現。

結果

  • 300点の新規部品の設計と容易な管理
  • 超高精度部品の精度向上
  • 部品の構造健全性と運動特性の高精度な検証
  • 試作品開発における試行錯誤の削減

土曜日の朝、試合前に子どものスケートを研磨してもらうため、アイス リンクやホッケー ショップで順番を待っていると、抱く思いはただ一つ、「今日の担当者は腕が良く、安定した作業をしてくれますように」と願うことです。ホッケー選手やその保護者は、何世代にもわたり、この習慣を当たり前のものとして受け入れてきました。それが伝統だったのです。さらに、スケートの研磨作業は非効率で、本質的に精度にも限界があります。Sparx Hockey社の創設者兼CEOであるRuss Layton氏にとって、こうした現状は懐かしさで済ませるわけにはいかないものでした。むしろ、エンジニアリングによる革新が求められる課題だったのです。 

Layton氏はニュージャージー州でスケートをしながら育ち、優れたスケート エッジがホッケーのパフォーマンスに不可欠であること、そして研磨作業の品質がいかにばらつきやすいかを身をもって経験しました。毎週のプロ ショップ通いに時間を取られ、若い頃にはホッケーキャンプの寮へベンチ グラインダーを持ち込み、スケートを研磨したことさえありました。それでも数年後には、自分も両親と同じことをしていることに気付きました。スケート研磨店へ車で向かい、列に並び、仕上がりが良いことを願うということです。

Sparx Hockey社によるスケート ブレードの研磨
スケート ブレードのエッジを点検

不満だけで会社を立ち上げられることは、めったにありません。しかし、その不満にエンジニアリングの経験が加わるとどうでしょうか。そこから新たなイノベーションが生まれます。Layton氏は医療機器業界で、長年にわたり製品開発に携わってきました。公差管理が重要で、故障モードの解析や厳密な設計プロセスが求められる業界です。医療機器メーカーを離れた後、その考え方をホッケー業界の見過ごされていた分野へ応用しました。

「私たちは、誰もが自宅でプロレベルの精度でスケートを研磨できる製品を提供するために市場へ参入しました」とLayton氏は語ります。「当時市場にあった製品は、非常に扱いにくいうえ、汚れやすく危険でもありました。この市場に革新をもたらし、誰もがスケートを研磨できる製品を実現するには、本当に重要な課題を解決する必要がありました」

エンジニアリング、設計、製造における最新技術を、100年以上ほとんど変わっていないスケートの研磨工程と融合させるという強い思いから、Layton氏は2013年にSparx Hockey社を設立し、自宅で使用できる自動スケート研磨装置の開発に着手しました。

妥協のない精度を実現

スケート研磨機の設計は容易ではありません。約300点の部品で構成されています。Sparx Hockey社のエンジニアリング チームは、新世代の研磨機の開発にあたり、本体サイズ、部品配置、内部レイアウト、さらには各部品の連携に至るまで、ほぼすべてを見直す必要がありました。エンジニアリング担当バイス プレジデントのDan Beaudet氏は次のように語ります。「特に開発の初期段階では、すべての作業を3次元で行い、部品配置を自在に変更できるツールは非常に価値があります。エンジニアとして、 SOLIDWORKS®なしで仕事をすることは考えられません」

スケートの研磨には極めて高い精度が求められるため、開発には多くの課題がありました。スケート ブレードの左右のエッジの高低差は、数千分の1インチ以内、髪の毛より細いレベルで管理しなければなりません。わずかな誤差でもパフォーマンスに影響するため、システムには極めて厳しい公差で鋼材を研磨する性能が求められます。

Sparx Hockey社のすべての部品をSOLIDWORKSで管理

関連リソース

SOLIDWORKS Simulationを使用すると、設計がよりスマートになり、経験に頼った繰り返し作業を減らすことができます。

Dan Beaudet

エンジニアリング担当バイス プレジデント

精度は妥協できない要件だったため、Layton氏はエンジニアリングに徹底して注力する必要がありました。Sparx Sharpenerは、開発当初から超高精度のシャフトや高品質なベアリングをはじめ、すべての部品が極めて厳しい精度基準を常に満たす必要がありました。「SOLIDWORKS Simulationを使用すると、設計がよりスマートになり、経験に頼った繰り返し作業を減らすことができます」とLayton氏は強調します。このアプローチにより、開発時間とコストを削減できました。

さらに、研磨機を構成する7~8点の押出成形部品は、単一の鋳造部品への統合を検討していました。この方法を採用するには、鋳造部品が元の押出成形部品と同等の構造性能を実現する必要がありました。「[SOLIDWORKS] Simulationを使用して最終的な鋳造部品を設計し、押出成形部品と同等の強度を確保できました」とLayton氏は語ります。

エンジニアリングが支える高精度

ガレージで夜遅くまで開発を続け、試作品を何度も製作し、有望に思えたアイデアも数多く見送りました。そして最終的には、コーヒーを淹れるような手軽さで誰でも操作できる装置を完成させました。「これまで職人の技術に頼っていた、まるで鍛冶仕事のような工程を、コーヒーマシンのように簡単に扱える機械へと変えました」とLayton氏は語ります。

スケートが適切に研磨されると、ブレードの左右のエッジは完全に水平になります。しかし、わずかでも水平が崩れると、一方のエッジがもう一方より鋭く感じられます。このわずかなずれにより、例えば左旋回ではしっかりとグリップする一方で、右旋回ではコントロールを失い、転倒につながることもあります。NHLをはじめとするトップ レベルの選手は、このようなわずかな違いも瞬時に感じ取ります。

SOLIDWORKS Simulationの解析結果

Layton氏は続けます。「当社では、[SOLIDWORKS] Simulationを頻繁に活用しています。構造健全性、荷重伝達、運動特性など、この装置には高度な技術課題が数多くあるためです」目指したのは、勘に頼って試作することではありません。試作品の試行錯誤を極力なくすことが目標でした。SOLIDWORKS Simulationにより、開発初期から設計を最適化し、製作する試作品の数を削減できました。

SOLIDWORKSを活用したSparx Hockey社の設計
Sparx Hockey社は、SOLIDWORKS Simulationを活用して極めて厳しい精度要件を満たしています

努力が実を結ぶ

創業当初から、状況は大きく変わりました。Layton氏のガレージで生まれた試作品は、高精度なスケート研磨システムへと進化しました。従来の研磨では、回転する研磨ホイールにブレードを手作業で当てるため、エッジの品質は作業者の技術や力の入れ具合、位置合わせによって左右されます。Sparx Hockey社は、こうしたばらつきの要因を排除しました。スケートを確実に固定し、一定の荷重と制御された送りで研磨リングをブレード上に移動させることで、安定した研磨を実現します。エッジの高さ、半径、表面仕上げを厳しい公差内で維持し、毎回一貫した仕上がりを実現します。約3~4分で、均一なエッジに仕上げられます。熟練した作業者は必要ありません。

現在では、Sparx Sharpenerの販売台数は10万台を超えています。この製品は、子どもから大人まで幅広いユーザーに支持されており、複数のNHLチームや元NHL選手にも採用されています。Sparx Hockey社のマーケティング担当バイス プレジデントであるSteve Jones氏は、次のように語ります。「ホッケー バッグからスケートを取り出してSparx Sharpenerにセットし、研磨が終わったらバッグに戻して車に積むだけで、すぐに試合や練習へ向かえます。これ以上ないほど手軽です」しかし、Sparx Hockey社が評価された理由は利便性だけではありません。一貫した精度と安定した品質も、高く評価されています。

スケートの研磨を見守る様子
スケートの研磨を見守る様子

イノベーションは続く

Sparx Sharpenerが成功を収めた現在も、Sparx Hockey社のチャレンジ精神は変わっていません。Beaudet氏は、イノベーションはこれからも続くと語ります。「これからもSparx Sharpenerを進化させていきます。より速く、より軽く、そしてより手頃な価格を目指します」

幼い頃の不満から始まったアイデアが、職人の技に頼っていた工程を自動化し、ホッケー選手のパフォーマンスを左右する重要な要素を安定させる高精度な装置へと発展したことは、驚くべき成果です。「当社は、誰もがスケートを研磨できる環境を実現しています。あらゆるホッケー選手やホッケーを楽しむ家族が、安全かつ簡単に、プロレベルの精度でスケートを研磨できるようになります」Layton氏は次のように締めくくります。「スケート ブレードと氷が接する部分は、ホッケーにおけるすべての基盤です。スケートが本来あるべき状態に研磨されていれば、最高のパフォーマンスを発揮できます」

製品:

  • SOLIDWORKS Premium CAD
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