製品開発を取り巻く状況は絶えず変化しています。シミュレーション ツールと、クラウドベースのプラットフォームや人工知能などのテクノロジーの組み合わせが、エンジニアや設計者のイノベーションへのアプローチ方法を大きく変えつつあります。モデリングとシミュレーション (MODSIM) を導入することで、メーカーは品質、カスタマイズ、持続可能性に対する消費者の要求の高まりに対応し、効率性と創造性に新たなレベルを設定することができます。

シミュレーションは戦略上欠かせないものになっています。あらゆる業種の企業がシミュレーションを活用して、コストの大幅抑制、製品品質の向上、イノベーションの促進、持続可能な慣習の定着を行うと同時に、市場投入までの時間を短縮しています。

MODSIMとは何ですか?

イノベーションを成功に導き、企業が変革できるようにするには、人材、ナレッジ、貢献、アイデア、ノウハウが、適切なツールを通じて適宜、集まるようにする必要があります。モデリング (modeling) とシミュレーション (simulation) (MODSIM) を結び付けることで、複雑な形状を仮想的にモデル化し、その性能と挙動をシームレスにシミュレートできるようになります。SOLIDWORKSや3DEXPERIENCE Works Simulationのようなツールに代表されるMODSIMアプローチにより、企業は反復作業をより迅速化し、シームレスに連携し、設計を最適化して、優れた成果を得ることができます。

コンピュータ画面に表示されているシミュレーション テスト

MODSIMのメリット

• 設計のさまざまな要素を早い段階で検証できます。製品開発の早い段階でシミュレーションを実行することで、性能に対するインサイトを向上させ、要件を満たすかどうかを検証できます。

• 検証する設計案を増やすことができます。より多くの設計案をより迅速に繰り返し検証できるようにすれば、革新的な新製品をより迅速に市場に投入することができます。

• コラボレーションによるイノベーションを促進します。製品要件の定義、製品の設計、プラットフォームでの性能検証の各担当者を含む、すべての関係者の間で全面的にコラボレーションできることが、エンジニアリング革命の次のステップとなります。

MODSIMは、単なるシミュレーション主導の設計とは異なります。MODSIMを採用すれば、製品開発工程の最初から最後まで、つまり要件からアーキテクチャ、検証から認定、製品開発からプログラム管理 (設計の検討、工程、自動化、変更管理、コラボレーションを含む) に至るまで、製品開発工程全体をシミュレーションで推し進めることができます。MODSIMは、エンジニアリング分野間のギャップを埋めることで、真に統合型のマルチフィジックス シミュレーションを可能にします。

シミュレーション ポートフォリオは、構造、流体、電磁界、音響、マルチボディ システムといった、設計の物理的な挙動のあらゆる範囲をカバーします。MODSIMは、これらの異なる物理的側面を互いに独立したものとして扱うのではなく、その相互作用を考慮したシミュレーションを可能にするため、真の挙動を正確に確認することができます。

「我々は、MODSIMで生かされているようなものです。コンカレント エンジニアリングは賢明な選択であるだけでなく、それがなければ、文字通り生き残ることができず、競争力を維持できないでしょう」

- GE Healthcare社、主席機械エンジニア、Joseph Lacey氏

MODSIMが重要な理由

従来の手法では、製品の設計とシミュレーションは、異なる部門が、それぞれのスケジュールや優先順位に従って実行していました。これにより、シミュレーションが設計の後半で行われることが少なくありません。開発のできるだけ早い段階でシミュレーションによる評価を行うことで、エンジニアは適切な設計案の選択ができ、設計後半での問題発生を避けて、コストを削減しつつ最終的に製品品質を向上させることができます。

自動車ボンネットのシミュレーション解析

• 設計の信頼性の向上:設計工程にシミュレーションを組み込むことで、エンジニアは製品の挙動を正確に予測し、不確実性を減らすことができます。

• コストの削減:MODSIMは、製品開発の初期段階にコストをシフトし、後半に問題が発生することを回避することでコストを削減します。MODSIMの主なコスト削減要因は、試作品作成の回数が少なく (またはゼロに) なることによる、設計サイクル時間の短縮です。

• 時間の短縮:モデル、物理的なテスト データ、蓄積されたナレッジを再利用して、開発工程を迅速化および合理化します。

• 強力なコラボレーション:世界各地のチーム メンバーがリアルタイムで連携し、お互いのナレッジと専門性を活用して、より迅速に解を得て、手戻りを削減します。

• 情報の一元管理:設計者とエンジニアの作業対象が同じモデルになるため、CADとCAEの間の変換やバージョン管理の問題を回避できます。

• 将来への備え:設計のすべての段階で設計者とシミュレーション エンジニアがリアルタイムでアイデアを共有することで、貴重なナレッジが設計者に伝達され、イノベーションが加速し、市場投入までの時間が短縮されます。

MODSIMは誰にとってメリットがありますか?

3DEXPERIENCEプラットフォームでのMODSIMの概念はシンプルですが、その効果は絶大です。ナレッジの収集、自動化、データの一元管理を実現するとともに、モデリング作業とシミュレーション作業を1つの環境に集約することができます。MODSIMは、製品設計に対する総合的な手法となる、よりよい手段なのです。

画面に表示されたシミュレーション モデル

エンジニアにとってのMODSIM

MODSIMを導入すれば、基盤となるモデルが常に最新版であることが保証されます。これは、設計とシミュレーションの担当者にとって非常に役立つ、MODSIMの多くの利点の1つにすぎません。最終的な設計完了までの時間を短縮し、最初から適切な設計を行うことができます。時間とコストの両方を節約するには、試作を減らす必要があります。また、完璧なデザインを実現するために、手間なく作成し、繰り返し改良したいと考えます。

チームにとってのMODSIM

エンジニアリング チームのリーダーは、さまざまな分野が関わるチームを管理します。MODSIMを採用することで、部門間の分断を取り除き、リアルタイムの最新情報を取得し、必要なデータを完全に可視化し、情報に基づいた意思決定ができるようになるため、革新的な製品をスケジュール通りに提供できるようになります。MODSIMアプローチは、専門知識を有する人、専門知識を有さない人、管理職で構成される分野横断型のチームを一つにまとめ、設計工程を全体的に俯瞰できるようにします。

リーダーにとってのMODSIM

ビジネスリーダーは、市場に製品を投入するまでの時間が成功に不可欠であることを理解しています。MODSIMを採用すれば、リアルタイムのデータにアクセスし、成長目標を達成するための可視性を提供し、市場の変化に迅速に対応できるようになります。チームは、効率的かつスケジュール通りに設計工程を実行できると同時に、試作品の作成やコストを減らしつつ、製品のイノベーションを実現できることを理解しています。