3Dスキャナ、Composer、EPDMを組み合わせて部品表を作成
2015年から取り組んでいる新たな課題が、部品表作成であ
る。
第一精工の製品は、釣具問屋を経由して、全国の釣具店・ス
ポーツ用品店・ホームセンターなどの小売店で販売されてい
るが、これを購入したエンドユーザーが、修理や交換をしなが
ら長く使うために、部品だけを欲しいと言ってくるケースが増
えた。しかし、エンドユーザー、小売店、釣具問屋のいずれも
が、どの製品のどの部品であるかを正確に特定し、伝達する
のに苦労している。
そこで第一精工は、部品注文が行われる可能性がある約500
アイテムの製品について部品展開図と部品表を作成し、釣具
問屋・小売店・エンドユーザーへ公開して情報共有するととも
に、社内でも情報の一元管理を徹底しようと考えた。
部品表作成に用いる道具は、3Dスキャナ、SOLIDWORKS
Composer(以下、Composer)、SOLIDWORKS EnterprisePDM
(以下、EPDM)である、
「SOLIDWORKS導入の2007年より前の製品は、3次元の設
計データがありません。そこで3Dスキャナで製品実物の立
体寸法を読み取り、計測データをSOLIDWORKSに取り込ん
だ後、Composerで部品展開図を作成しました」と常務取締
役の木田光彦氏。
3Dスキャナによる読み取りと部品展開図作成は、予想以上に
すばやく実行でき、約300製品を2~3カ月で仕上げることが
できた。
次に、2007年以降のSOLIDWORKSデータもComposerを
使って部品展開図を作り、部品表を作成した。
「現在は、全製品にJANコードとバーコードを付与し、部品番
号の整合性をとりながら、EPDMに登録しているところです。
素材、仕入先、原価など、細かい属性情報まで入力するのでと
ても大変な作業ですが、完成すれば、設計データのバージョ
ン管理も徹底でき、情報セキュリティも強化できるなど、効果
は計り知れないほど大きい」と、EPDM登録作業を担当して
いる木田常務は意欲的に語る。
3次元データを中軸にプロセス改革、情報一元管理、さらに情報共有へ
第一精工は、3次元データを中軸に据えて、開発・試作プロセ
ス改革、情報の一元管理と展開してきた。3次元化したこと
で、設計データが会社の資産となり、再利用の可能性が大き
く広がったのだ。
次の目標は、設計・試作を「個人の職人技」に閉じ込めてしまう
ことなく、社員全員が設計・試作の状況を把握して協力できる
ようにする「業務の一般化・標準化」である。これを実現するた
めに、SOLIDWORKSやSimulationを使いこなせる人材も
増やしていく。
また、設計・試作はSOLIDWORKSを基盤に効率化してきた
が、今後は、EPDMを中軸に据えて、販売・生産・在庫のデータ
ベース一元化、全社業務の効率化へと、プロセス変革を拡大
していく計画である。