Challenge

チーム メンバーが地理的に分散しているときでも、設計チームとエンジニアリング チームの作業効率、コラボレーション能力、コミュニケーション能力を高くする。

Solution

クラウドベースの3DEXPERIENCEプラットフォームを基盤とするブラウザベースの3D Creatorソリューションで、SOLIDWORKS for Entrepreneursソリューションを拡張する。

Results

  • 設計サイクルを30~40%短縮
  • 市場投入期間を20%短縮
  • 開発コストを25%短縮
  • 設計の視覚化、コラボレーション、およびコミュニケーションを向上
Rapolas Gražysto氏

Rapolas Gražysto氏が創設したリトアニアのギターメーカー、Lava Dropsは、2016年6月のKickstarterキャンペーンをきっかけに事業をスタートしました。

それ以来、同社は世界各国を回り、プロのミュージシャンに商品をアピールしています。The White StripesのJack Whiteに特注モデルを製作したこともあります。また、SOLIDWORKS World 2019では、イベント用に特別にあつらえた新しいギターを出展しました。

Lava Dropsシリーズのギターのボディ、ネック、インレーには、いろいろな種類の一風変わった素材と木材が使われています。たとえば、冷え固まった溶岩(lava)の欠片や(これがLava Dropsという社名の由来となっています)航空機に使われるレベルのアルミニウム トリムなどが使われています。また、長きにわたって市場を独占しているFenderやGibsonのコピー モデルとは大きくかけ離れた、独特な外観の楽器も何種類か出しています。そうした楽器は自然の造形物をヒントにしながらも、最新のテクノロジーをしっかりと取り入れています。

さらに、同社はギターにレーザー式のMIDIコントローラーを装着できるオプションサービスも提供しています。レーザー光線を手で操作して、いろいろな種類のエフェクトやノイズをコントロールできるのです。これはなかなか画期的なことです。

レーザーを使っているとなれば、誰しも興味を惹かれるところです。

「3D CreatorエディションのLava Drop Xは、通常のLava Drop Xモデルをベースに、SOLIDWORKS World 2019に向けて作った特別モデルですので、それ用の特別なオプションがいくつか付いていました」とGražys氏は説明します。

MIDIコントローラーは、モンスターかテクノロジー嫌いでなければみんな大好きなはずです。

3DEXPERIENCEエディション

何はともあれ、Lava DropsがSOLIDWORKS World 2019に出展するためにデザインしたカスタム ギターを実際にお目にかけたいと思います。図1に示したとおり、美しいデザインになっています。

 

Lava Drop X
図1.SOLIDWORKS World 2019に向けて作られたカスタム モデルのLava Drop X。(画像提供:Lava Drops)

3D CreatorエディションのLava Drop Xは、通常のLava Drop Xモデルをベースに、SOLIDWORKS World 2019に向けて作った特別モデルですので、それ用の特別なオプションがいくつか付いていました」とGražys氏は説明します。

Lava Dropsの設計、エンジニアリング、製造の各チームのメンバー間で、どのようにして効率的にリアルタイムで共同作業するかは、SOLIDWORKS for Entrepreneursソフトウェアをもってしても難しい問題でした。そんな折にGražys氏は、クラウドベースの3DEXPERIENCE®プラットフォームで動くブラウザベースの3次元モデリング アプリケーションがあるのを聞きつけ、実際に試してみることにしました。先見の明がある同氏は、このプラットフォーム上で動作する製品開発ツールがどんどん増えており、それぞれがシームレスに連動したり、場所やデバイスを問わずアクセスできたりする点に好奇心をそそられました。Lava Dropsは、xDesign®アプリを含むクラウドベースの3D Creator®を導入して、SOLIDWORKS for Entrepreneursデスクトップ ソリューションを拡張しました。

デスクトップからクラウドへ

3D Creator xDesignアプリを追加し、3DEXPERIENCEプラットフォームの導入を進めてから、同社は、設計環境におけるリアルタイムのコラボレーションを促進したことにより、いろいろな面で生産性が向上したことを実感しました。「工業デザイナーやデジタル アーティストに向けて特別に開発された3D Creator xDesignアプリを使うと、概念設計が簡単になり、速くなります」とGražys氏は説明します。

「SOLIDWORKSソフトウェアと3DEXPERIENCEプラットフォームはシームレスに連携するため、目の前の仕事を進めるのに最適なソリューションです。エンジニアリング チーム、製造チーム、お客様は、いつ、どこにいても、任意のデバイスからWebブラウザを使ってコラボレーションできます。エンジニアは別のオフィスにいても、設計ファイルにアクセスしてシミュレーションを実行し、数学的な目的、物理学的な目的で変更を加えることができます。製造チームのスペシャリストは、さらに別のオフィスからモデルを解析し、製造可能性に関する調整を行うことができます。

関連リソース

「ネックスルー構造を使った未来感のある芸術作品になりました。リトアニア産のカエデ材とサペリ材を、アルミニウムのプレートで縁取っています。このようなかけがえのない材料が過去と未来を結び、何ともいえない共鳴と魅惑的なサステインを生み出すのです」

「アルミニウムの縁取りによって高周波が引き立ち、サステインが長くなるため、音質が非常にクリアになります。指板の素材はエボニー材で、アルミニウムでできた特別な「X」型のインレーがちりばめられています。このカスタム楽器を、ダッソー・システムズのカラーである青でペイントして、3DEXPERIENCEのロゴをあしらいました。

図2を見て分かるとおり、Lava Dropsの設計者はSOLIDWORKSを設計に使っているだけでなく、3DEXPERIENCEプラットフォームを積極的に活用して製品ライフサイクル管理(PLM)に役立てています。

 

3DEXPERIENCEを使って設計
図2.3DEXPERIENCEを使って設計。(画像提供:Lava Drops)

Jack White IIIシグネチャ エディション

Kickstarterキャンペーンから始まった会社が、2年足らずで世界有数のギタリストのシグネチャ モデルを製作するほどまでに成長した秘訣は何でしょうか?

 

自身のシグネチャ ギターを持つJack White氏とRapolas Gražys氏
図3.自身のシグネチャ ギターを持つJack White氏とRapolas Gražys氏。(画像提供:Lalo Medina氏、Monotone, Inc.)

この特別なギターの製作に至ったクールな裏話をご紹介しましょう。

「それはびっくりするような、他では得られない体験でした」とGražys氏は説明します。

「去年、Jack Whiteのワールドツアーがあり、ここリトアニアでもコンサートが開かれました。そのとき、ツアーのオーガナイザーから、Jackの音楽を愛するリトアニアの人々を代表して、特別なプレゼントを作ってほしいと頼まれたのです。私は楽器の製作に2か月、組み立て加工に3か月かけて完成したギター、Lava Drop Jack White IIIをJackに直接渡しました。

「彼はとても満足してくれました。私は、レジェンドに会ってギターを一緒に持てたことが、本当に嬉しくて仕方ありませんでした」

 

Jack White III
図4.Jack White III。(画像提供:Lava Drops)

Jack White IIIの設計には3という数字が深くかかわっています。Lava Dropsによると、この数字は、世界中のほとんどの美を規定しているのだそうです。この法則に従って、同社は3つの大陸から取り寄せた3種類の木材で、このギターを作りました。

その他にも、独特の美しさを出すために、3種類のブティック ヴィンテージサウンド、3つのHaeusselミニハムバッカー、ボディ側面を囲む3mmのアルミニウム素材(サステイン効果の向上とボディの補強が目的)、3色のブレンドが採用されています。


3D Creator xDesignアプリを使うと、概念設計が簡単になり、速くなります。(中略)SOLIDWORKSと3DEXPERIENCEプラットフォームはシームレスに連携するため、目の前の仕事を進めるのに最適なソリューションです。エンジニアリング チーム、製造チーム、お客様は、いつ、どこにいても、任意のデバイスからWebブラウザを使ってコラボレーションできます。

Rapolas Gražys氏
創立者

Gražys氏はこれまでに、Lava Dropsの事業を通して他にも何人もの有名なギター プレイヤーと会ってきました。

「仕事の特権を利用してギターの神様に会い、Lava Dropsのギターを試奏してもらいました。彼は気に入ってくれて、お褒めの言葉をかけてくれたんです。至高のギタリスト、Tommy Emmanuelです。

「ギターの神様に直接会って、目の前でLava Dropを演奏してもらったことは、すばらしい体験でした」

Tommy Emmanuelは、Chet Atkinsの影響を強く受けたフィンガースタイル奏法で知られる、オーストラリアのアコースティック ギタリストです。実際に、Chet Atkinsと共同でアルバムを作っています。また、Guitar Player誌で数回にわたって最優秀アコースティック ギタリストに選ばれています。

Lava Drops製ギターのファンは、海外だけでなく自国でも着々と育っています。

「今のところ、リトアニアでもっとも有名なミュージシャンの1人、Andrius MamontovasがLava Drop Xモデルを使ってくれています」

関連リソース

これからのイノベーション

Lava Dropsの前には明るい未来が広がっています。ビジネスの裾野が広がりを見せ、新しいファンをどんどん獲得している同社は、次に何を目指しているのでしょうか。

「楽器には滅多に使われない珍しい素材を使う新しいアプローチを考えています」とGražys氏は述べます。

「すでに、5千年前の琥珀を使ったBlack Amber Dropという名前のギターを作りました」

下のビデオで、前述したBlack Amber DropギターをDeep PurpleのSteve Morseが試奏している様子を見ることができます。

 

「今、もう1つ別のギターを作っています。このギターは非常に珍しい素材で作ることになっていて、今年中にお見せできればいいなと思っています。というのも、設計、製作、加工にいろいろな趣向を施しているからです」

それにしても、琥珀よりも珍しい素材とは何でしょうか。珍しい素材はたくさんありますが、加工できて、ギターの形にできるものでなければなりません。

恐竜の骨?隕石のかけらで縁取り?それとも、莫大な数の層が重なっているダマスカス鋼?どれも可能性は低そうです。

今のところ、Gražys氏は素材を何にするか明言していません。ここは深追いせず、楽しみに待つことにしましょう。

「ぜひ、Lava Dropsのソーシャル メディアをフォローして、Lava Dropsのニュースレターを定期購読してください」とGražys氏。

「いろいろと楽しい計画を進めています!」

Facebook、Instagram、TwitterでLava Dropsをフォローできます。同社の楽器に興味がある方は、このリンクにアクセスして詳細をご確認ください。

 

SOLIDWORKSのご紹介