Challenge

アスリートおよびアウトドア スポーツ愛好家向けの高性能な補装具の効率性を継続的に高め、その品質と強度を最大化する。

Solution

現在、BioDaptはSOLIDWORKSおよびSOLIDWORKS Simulationを使用して、設計の最適化と製品開発プロセスの迅速化を実現しています。

Results

  • オリンピックでのメダル獲得者を15人以上輩出
  • スノーボード、スキー、サイクリング、オフロード バイク、ATV、ウェイト トレーニング、乗馬、およびウォーター スポーツで使用できるように製品を拡張
  • 新たな設計で高負荷にも対応が可能に

Mike Schultz氏は、これまでの人生で常にパワースポーツに打ち込んできています。高校生のときにはモトクロスに夢中になり、その後、すぐにスノーモービルのレースの世界に飛び込みました。そして、ランキングを上げるためにレース サーキットで腕を磨き、国内外のスノーモービル レースに常時参加する選手となりました。「世界でも最も優れたスノークロス レーサーの1人として、まさに自分の描いた夢を生きていました」とShultz氏は言います。

 

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今までとは違う怪我

2008年、Schultz氏は新たなレーシング チームと契約しました。スノークロス チャンピオンシップのInternational Series of Champions(ISOC)の第2ラウンドで、スタートに失敗し、そのロスを取り戻そうと猛烈に追い上げました。そして、起伏の激しいエリアでトラックを急降下してしまい、スノーモービルから放り出されました。

左足で着地し、全体重がかかった衝撃で完全に左脚が伸び切ってしまいました。そのきわめて大きな負荷により、脚が砕けてしまいました。「私の脚は変な方向に曲がり、胸のあたりにありました」と、Schultzは振り返ります。「文字通り、つま先で自分の顎を蹴り上げました」

Schultz氏はそのレース キャリアの中でさまざまな部位の骨折を経験してきましたが、このときの怪我は単なる骨折とはまったく違うものでした。

その大事故から生き延びるためには、左脚の膝上7、8センチから下を切断する必要がありました。

 

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設計プロセスを常に進めていくためには、移動中であっても、このようなファイルを送受信できることがとても重要です。

Mike Schultz
Founder

常に前進

手術から目が覚めたSchultz氏の第一声は、父親によると「前向きに生きていこう」という言葉でした。そんな彼が初めて義足を装着したのは、2009年の春でした。その数か月後、さらに優れたものが必要だという思いに至りました。つまり、再びパワースポーツの世界に戻れるような義足です。Schultz氏は自分で設計できると確信していました。

パワースポーツのアスリートとして、レーストラックで勝つためには自分の体がどのように機能する必要があるかを知っていました。また、レーシング マシンのサスペンションやさまざまな構成部品についても理解していました。そこで、それらの理解を新しい脚の作成に活用しようとしたのです。

それらの動く仕組みに対する興味を元から持っていたため、9年生(日本の中学3年生)のときに製図の授業を受け、紙の上での作業(およびやり直し作業)に数多く取り組み、自分の好きなことを続けられる可能性のある新しい脚を設計しました。ソリューションの製図を6週間にもわたって何度もやり直すことで、自身の発明によってパワースポーツにそのうち戻れることを確信しました。

あの怪我から7か月後、Schultz氏はSummer XGamesスーパークロスに参加し、銀メダルを獲得しました。その脚は、自身がガレージで設計したものでした。

 

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必要とする人が他にもいる

そのとき、Schultz氏は自分以外にもたくさんの人が自分が作成した補装具を必要としていることを悟りました。

脚の一部を失った多くの人々が、スノーボードなどのアクティビティを楽しみたいと思っていることを知っていました。また、退役軍人を支援したいという強い思いもありました。Schultz氏は、どのようにすれば自分の補装具の汎用性を高められるかについて検討を始めました。そして2010年の初頭、BioDaptという会社を立ち上げました。その目標は、動作やパワースポーツ活動向けの高性能な下肢義足装具を市場に展開することです。

関連リソース

設計の課題に直面

Schultz氏は自身の2次元図面をどのようにしていきたいのかについて同社の設計チームに説明し、CAD設計者がそれを3次元で設計します。「SOLIDWORKSなら、このプロセスがきわめて簡単かつ迅速なものになるため、私たちはその他の多くのことができるようになります」と、Schultz氏は熱く語ります。「SOLIDWORKS Simulationを使用することで、アセンブリを仮想的に構築してデジタルでテストし、問題点を検証できます」

VF(Versa Foot)2の設計に関する課題の1つは、コンパクトな設計でありながら強力なものにすることです。VF2は、動的な負荷として、約230kg以上の圧力に耐えなくてはならない場合があります。ほかにも、Moto Kneeの独自のトラック ローラー システムの設計にも課題があります。「基本的に、この衝撃で約5cmの移動があった場合、それを膝関節で130度の動きに変換する必要があります」と、Schultzは述べています。

SOLIDWORKSにより、BioDaptの社員はオフィスにいても外出中でもコラボレーションできます。これはSchultz氏にとって当たり前の状態です。「設計プロセスを常に進めていくためには、移動中であっても、このようなファイルを送受信できることがとても重要です」

 

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他の人々のために扉を開く

Schultz氏の妻であるSaraは、BioDaptの補装具を初めて装着する多くのお客様を見てきました。「彼らの表情は一気に明るくなります。好きなことができるようになるからです」そのような人々はSchultz氏にこう言います。「あなたは私の人生を変えてくれました」

2018年のパラリンピックでは、BioDaptの補装具を着けたアスリート9人がスノーボード競技で表彰台に上がり、合計11個のメダルを獲得しました。

「私にとっても社員にとっても、本当に誇らしい瞬間でした」とSchultz氏は言います。「自分がメダルを獲得することも嬉しいですが、他の多くの人々に好影響を及ぼせることは、本当にかけがえのない経験です」

Schultz氏は、自社の補装具にさらなる汎用性を持たせられるよう継続的に取り組んでいます。それらを装着する人々ができるだけ多くのスポーツやアクティビティを楽しめるようにしたいからです。現在、同社のMoto Kneeはスノーボード、スキー、サイクリング、オフロード バイク、ATV、ウェイト トレーニング、乗馬、およびウォーター スポーツで使用できます。今後もできるだけ多くの人の役に立つためにBioDaptが研究開発を進めていくにつれて、使用できる範囲はさらに拡大し続けます。

 

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